予想、回顧、コラム

血統を語る、競馬予想ブログ「ぶらっと競馬場まで」

函館記念 -回顧-

読了までの目安時間:約 3分

 

いつもとの違いの一つが、内を狙った馬がことごとく詰まってしまっていたこと。
前日の2歳Sもそうだったが、今年函館で行われた重賞競走は、ことごとく好位抜け出し組が不発。このレースでも、勝浦、岩田といったそっちの方から抜け出す競馬をどらかというと好むタイプの騎手が、今回もイメージ通り乗って、結局直線で同じスペースを狙うしかなくなって、外差しを許す結果に。
ハンデ重賞のような、些細なことで着順が変わるレースでこういう流れが続くというのは、勝負師にはとても辛い。こういうのは流れとしか言いようがない。

もう一つが、1番人気の馬に向く競馬になったのに、結果みんな惨敗していること。
函館SSも2歳Sもその類の決着で、妙に人気を集めたグランデッツァの場合は、怪しさはあったと言えども、少しきつめの流れを好位からドンドン前に攻めていく競馬をするのにぴったりの展開だったのに、斤量なのかどうか敗因は定かではないが、直線は失速。
前々走の反動もあったのだろうが、勝ち馬ほどは函館適性がイマイチの可能性もある。何せ、北海道は約3年ぶりの参戦なのだから、データも何もないのだ。バウンスシャッセも同じような理由だろう。
ハンデ重賞らしい結末だ。

そして、ラブイズブーシェは素晴らしかった。
有馬記念で体得した武豊直伝の追い込み脚を披露する舞台がどこかで必ずあるのだろうと手ぐすね引いて待っていたファンには、実にたまらない展開となった。
4角で後ろにいたのは、2着のダークシャドウ。
斤量差2kgの影響は、加速の必要な小回り前崩れの捲り合いでは決定的な差を生んだ。
有馬記念と同じように、この函館記念も特殊なレースとして認識されている。展開一つ、馬場状態も時計面に影響する共通項には、不思議なシンパシーも感じる。
このコースのレコードホルダーであるサッカーボーイも、有馬記念で好走している。

昨夏函館で2連勝しているが、ラブイズブーシェというのは函館、札幌の未勝利戦を勝てなかった馬。
明けの中京で未勝利馬ながら500万特別を制してから始まったサクセスストーリーは、努力と経験の古馬戦線における、ごくごく基本的なスキルアップの積み重ねがあってのもの。
強運がどうのこうのとは一線を画した、実力馬による初重賞制覇だ。競馬というのは、本当に不思議な縁で結ばれているのものである。

 

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函館記念 -予想-

読了までの目安時間:約 4分

 

先週の七夕賞に引き続いて、夏の名物ハンディキャップ重賞が今週も開催される。
如何せん、このレースの荒れ方は時に常軌を逸した奇想天外な結末を迎えることもあって、歴史的事件の巣窟とも言える、日本競馬の中でも最も特異なレースである。

同一の平地重賞3連覇を成し遂げたエリモハリアーの名を冠したレースがこのレースの直前に行われるのだが、この馬の凄さは、1番人気に応えた2006年の勝ちタイム2:05.1という、国内ではまずお目にかかれないような競馬にフィットした鈍重な印象とは別のところにある。
ジェネラスの仔で、当然洋芝専門にシフトして何ら疑問はないのだが、あと2つの勝ち時計が意外と速い。
2005年が2:00.6、2007年は2:02.8。
3連覇を決めた年の場合は、恒例のステップ競走である巴賞に札幌記念以来の休み明けで挑み、勝ち馬から1.5秒差の殿11着と敗れた直後に巻き返したもの。
その上、彼の鈍重な印象に真っ向から否定するパフォーマンスをこの後披露したのだ。

この年の毎日王冠4着時の1:44.5という走破時計は、レコード勝ちしたチョウサンから0.4差。
翌年、レコード決着となった秋の天皇賞は11着ながら1:58.3という自己最高記録で走破し、また翌年の小倉記念で5着した時にはそれにわずかに及ばない1:58.4ではあったが、この時エリモハリアーは既に9歳になっていた。
エリモハリアーが、総合力でこのレースを制したという何よりの証だ。

七夕賞と同じように軽い斤量の有力馬が少ない。
3歳牝馬のバウンスシャッセに51という斤量は、可もなく不可もなしの妥当な設定。別定戦と差がない点が、むしろマイナスなほどだ。
案外、洋芝の渋った馬場は持ち堪えられない可能性は、札幌2歳S惨敗に見え隠れしている。3番手にしたが、微妙な予報も出ている。

エリモハリアーを引き合いに出したからには、
2000M 1:58.6
2400M 2:22.9
という洋芝巧者にしては、まずまずの時計を函館記念出走後の中距離重賞で記録したアンコイルドの存在を見逃すわけにはいかない。
本命の理由は、血統と戦績の両面でエリモハリアーに酷似する部分ともう一つ、その特殊性が連続好走の要因を生む古馬中距離重賞のリピーター率の高さに求めるところが大きい。
昨年、同じ競馬場の重賞で時計差7つ以上の競馬をともに好走した3頭は、いずれも中央場所の重賞を勝っている。この馬だけ格が落ちることもないわけで、京都大賞典の内容も素晴らしかった。
昨年と同じような結果だった巴賞は、勝浦騎手がテン乗りだった影響もある。結構、タフな追い方をしないといけない馬だ。2度目で一変に期待。
何だかんだで先週も馬券に絡んだ中山記念組は、流れが止まるまでは押さえたい。重になると流石に辛いが、ダークシャドウの底力は侮れない。

 

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何でだろう? -自由・放言の奨め-

読了までの目安時間:約 2分

 

ペルーサの闘争心は、あの春の天皇賞で砕け散ってしまったのだろうか。
出遅れは敗因の一つではあるのだが、無難に出て走ったのは青葉賞くらい。これも個性。
4年間未勝利の理由は、他にありそうだ。

ダービーは超スローで、途中から動かざるを得なくなった。次のレースから騎手が替わった。
季節が変わって、騎手もまた替わった。ノリ&アンカツのブエナビスタコネクション。
職人気質のこの二人は、気難しい馬に対し、アンカツさんは毅然とした態度で臨み、ノリさんはできるだけ意志を汲み取ろうとする違いはあるが、お互い勝つために合理性を追求するタイプ。
前者は秋の天皇賞で、後者は青葉賞で能力を最大発揮させたのだが、その走りに共通するのはスピード能力の非凡さを示した点。

2000Mならいける!最後の連対は白富士S。GⅠ好走したのも秋の天皇賞の2戦だけ。父が覚醒した場所で、もう一度…。
これにより、外々追走も先頭が4度変わる異様な展開で、騎手も馬もやってられないと匙を投げてしまった春の天皇賞の敗因が、出遅れなかったことでも距離適性に問題がなかったわけでもないと、言い切れるわけだ。

「じいさんの頭の良さを見くびらないでもらいたい」
出遅れという形で抵抗を示しているのか。
縛りを開放する責務。師に罪があるとするならば、それは名手の腕に悪癖修正を託してしまったことか。
ペルーサはまだ全力で走っていない。時計不足の克服と併せ、ゲート対策の成果に拘りすぎなければ、脚元の不安再発の前に好結果が出るかもしれない。
北村騎手替わりもいい。彼は、馬にストレスをかけない乗り方ができる。

 

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セレクトセール

読了までの目安時間:約 2分

 

高額落札馬に二言三言。

当歳
アゼリ14(牡)
落札額 2億5千万円<近藤利一氏>
現1歳の全兄はほぼ同額で取引。米GⅠを11勝した母の血統は、父のジェイドハンターを除けば、芝向きの種牡馬ばかり。その影響は大きい。

アドマイヤキラメキ14(牡)
落札額 2億2千万円<島川隆哉氏>
トーセンスターダムが2.6億、デビュー前のネオスターダムが1億で落札。生産者側も安全祈願したい。クラフティワイフ系の成長力がミソ。

2頭ともディープ産駒。続く1.8億円で落札されたミュージカルウェイ14(牡)も同じ。カタール・アルターニ殿下の代理人が競り落としたが、前日の1歳馬セールで、当開催最高額の馬を落札した経緯もあり、人馬とも要注目。
バンドワゴンの半弟でハーツクライ産駒のピラミマ14(牡)<1.5億円・落札者(株)MMB>は、非ディープと父替わりに期待。

1歳
2.6億円のリッスン13(牡)は、前述のアルターニ殿下。2億円で落札のマジックストーム13(牡)は里見治氏が、期待のディープ産駒を掌中に。
リッスンは愛国産で、イギリスの2歳GⅠを勝った馬。両者好馬体だが、高速馬場では怪しい。
金子真人ホールディングスが落札したラヴズオンリーミー13(牡)は、3代母ミエスクの良血馬。1.8億円のお高い買い物は吉と出るか…。実力伯仲の世代か。

億取引でGⅠを勝った馬は、全市場落札馬でほんの数頭のみだ。
サンデー系が蔓延る国で、その血を持つことが落札額高騰の要因となっているから、フランケルの持ち込み馬・グッドウッドマーチ14(牝)に1億円弱の値がついたことで、変に肩入れしてしまいそうだ。

 

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春風で涼む

読了までの目安時間:約 2分

 

GⅠで1番人気を裏切る馬が現れると、案外皆が傷つくものである。
今春も例年並み程度にその裏切りが起こってしまった。悲しくもあり、勝負の厳しさが如実に表れるのも、1番人気の馬が負けると分かった瞬間を目撃した時だ。それを思い出せば、意外と体の火照りも治まってくる。

計11回行われたGⅠレースでは、7度1番人気が敗退。
ベルシャザール
ストレイトガール
トゥザワールド
キズナ
スマートレイアー
ハープスター
イスラボニータ

うち4着以下に敗れたのが、ディープ×ユタカという唯一無二の絆を受け継いだ良血2頭であった。
前走の阪神で豪快に立ち回って人気に応えたキズナとスマートレイアーが、上がりの速い京都や東京で差し損ね。
前者は初距離に加え、レース中だったかはともかく、激闘の末に脚を傷める結果に。後者は東京での高速の上がりを評価されていたが、新潟と中京では不発だった。
夢見る投票者の思いとは裏腹に、過剰に人気を集めたがため、強固な絆は破綻した。勝ち馬とはわずかな差も、近年の春のタイトル争いで、特に波乱含みの競馬が多かった2レースでのこと。これも必然だったか。

安田記念の翌週から、2週続けて断然人気馬が吹っ飛んだのも記憶に新しい。
マジェスティハーツの場合、前々週のハーツクライ×ノリによるダービー戴冠というビッグシーンが大きく影響した。今週もノッていけ。ただ、4週続けてとはいかないのも乙なところ。おまけにディープの仔に敗れるとは、神様も悪戯好きだ。
その翌週に断然人気に推された2頭の不利と自滅に見たものは、夏の風に呑まれた姿。
6月の雨は、ローカルモード突入のサインでもある。

 

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