シーザリオ シンボリクリスエス 

血統を語る、競馬予想ブログ「ぶらっと競馬場まで」

血視点② エピファネイア

読了までの目安時間:約 2分

 

母の良さを全面に受け継いでいる。それが、昨年の菊花賞馬の第一印象。
エピファネイアは、シーザリオの第3仔にあたる。
上の2頭はともにキングカメハメハ産駒。しかし、1戦1勝、デビュー叶わずと散々な結果に終わり、期待には応えられなかった。

シンボリクリスエスに替わって、どんな変化が生まれるのか?
その変化は、唯一この馬の中にロベルトのいやシンボリクリスエスの血が入っていることの証明である、
「キレない」
性質にすべて体現されている。
気は立つ方だが、サンデーらしい決め手を活かすための末脚勝負を得手としないのが、パワー勝負向きのロベルト系らしさ。
競馬の形を左右する本質的な部分では、やはり直系の影響は大きい。

でも、それはシーザリオだって同じだった。
アメリカのにわかGⅠを制し、改めてその能力の高さを証明したのだが、常識的な考察をすれば、ジャパニーズオークスウイナーが極端な体調不良以外で大きく敗れるようなレベルの競馬とは言えないだろう。
あの逃げ切りは、あくまでも必然だったように思う。そして、日本のオークスの競馬は底力の違いだけでエアメサイアを子供扱いしたのだ。

エピファネイアが菊花賞を勝った時、そんな母の競馬を真っ先に思い返していた。

ヘイルトゥリーズンの同系配合に、ノーザンダンサー系のクロス。基本的には、ブエナビスタの持つニジンスキーの4×3のクロスに、ターントゥの血が3本以上入っている血統構成は酷似している。
そして、彼女と同じようにベストトゥベストでその競走能力を説明できる稀有な存在であるということ。
こんなに血統論を必要としない名馬も珍しい。

 

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血視点① ロードカナロア

読了までの目安時間:約 2分

 

非サンデーサイレンス系のロードカナロアは、どちらかといえばノーザンダンサークロスが主成分の欧州型血統馬の印象に近い。
その5×5×4に加え、カメハメハの牝系にもう一本あるから計4本入っている。
母父ストームキャットから快活なスピードも受け継ぎ、母レディブラッサム同様スプリンターとして活躍し、大成した。

この馬の血統的力点であるノーザンダンサーという存在は、和合性を持ち同時にインブリードにより能力を底上げする効果のせいで、ジレンマを抱えることになった。
非ヘイルトゥリーズン系の成功者となれる男の陰。
いずれ訪れる同系、濃厚配合の全盛期を前に、サンデーサイレンスの影響力への疑義や、これに互換性があるかは別として、この配合にはあと数十年は着目すべきだろう。

本質論ではない。もとい。
リボー系が2本入っているが、その効果が強く出ている場合、戦績に不安定さが出る。4着以下なしの好成績からその影響はあくまで限定的。
この馬のパワーの源は、直系のネイティヴダンサーから連なるパワフルな血筋と前述のストームキャットだという証明でもある。

また、その母父セクレタリアトとカナロアの5代母シリアンシーは全兄弟。セクレタリアトが弟にあたる。
分流からはニシノフラワーが輩出し、更にこの兄弟の半兄には名種牡馬であるサーゲイロードがおり、その系統からはハビタットを経て名短距離馬・ニホンピロウイナーが生み出された。

代を経ることにより、ポツポツとスピード型のスターホースを送り込んできた血筋。
この馬は、日本競馬界に大きな影響を与えるその最先端にいる種牡馬になるかもしれない。

 

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有馬血統を探る

読了までの目安時間:約 2分

 

このレースで親仔制覇を果たした和製王者の系譜は途絶え、代わりに同系のメジロマックイーンが母の父として大ブレイク。
昨年の同父産駒のワンツーは、ディープインパクトがハーツクライに敗れた05年以来。
この二つ、ステイゴールドが深く関係している。

3着が最高で、特段得意条件にも思えないから色々とその特性について考察してみたのだが、サンデーサイレンス産駒でこのレースを勝った馬は、2500M以上の重賞を他にも制していたり、洋芝のレースを勝っていた。
ハーツクライは、ここを勝った後ドバイやアスコットで結果を出した。むしろここではディープインパクトの方が例外。
今年そのディープ産駒で唯一参戦となったダノンバラードは、時計の掛かる競馬でしか走らない特性を持っている。
この系統、例外の方が買いということか。

テイエムオペラオー以来ずっとヘイルトゥリーズン系が勝ち続けている。
まあ、シンボリクリスエス以外はサンデーサイレンスの直系なのだが。かつてはダイユウサクやリードホーユーなど、渋い血統の馬も勝ち切っていた。
オグリキャップが勝った頃から、スピードタイプが本格的に台頭。
90年代はチャンピオンホースが盛り返していたが、サンデーサイレンス産駒が21世紀に有馬記念の壁を突破して以降は、時計との勝負も重要になり、33秒台の上がりも時には必要だ。

ちょっと気になるのがミスプロ系。
オグリはネイティヴダンサーの孫だったが、基本的に2500の緩急の競馬はあまり得意ではないのだろう。キングマンボ系が2着2回、後は連続3着のトゥザグローリーがいるくらい。ダービー馬回避で肩身も狭い。

 

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血の先入観

読了までの目安時間:約 2分

 

GⅠの谷間で、適性という謎に迷い込んだ。
アスカクリチャンがアルゼンチン共和国杯を快勝。母父はダイナレター。七夕賞を勝ったアフリートの孫。
母父はナリタハヤブサ。七夕賞を勝ったアフリートの仔、という不思議な前例もある。
 
ダートを使われ続け初芝で2勝目を挙げて以降、船橋に転出するまで芝で走ったドモナラズと比べ、芝のみ一貫して使われきたアスカクリチャンは似たような成長曲線でも背景が異なる。
荒れ馬場は合うが、不良馬場では勝っていないのは同じ。
ダート向きの方が芝で走る。データ上は否定される仮説。ただ、アスカクリチャンがもしダートに参戦しても、きっとGⅠには届かない。
兼用馬は芝も速く走れる。難しい。
 
西では、芝の重賞馬・ブライトラインがダート重賞初制覇。
カネヒキリが現れてから、距離の壁と同時に芝・ダートの垣根が取り払われたフジキセキ産駒。
総じて、芝のGⅠでは詰めが甘く、ダート向きの馬は本当はもっといるはずだ。
 
このくらいの時計が合うという欧州鈍重血統のダート参戦組もいるが、そういうタイプは重賞で馬脚を現す。
ブライトラインはその複合体で、能力バランスがダートのこのくらいの時計にフィットしているのだろう。
 
オープン級にまで育つ馬は、能力バランスのいずれかが突出しているもの。
だから、芝が得意というよりダートが苦手、またその逆というようなやや曖昧な性質で、それでも能力が高いからそれぞれ血統のイメージとは異なる結果が出たのだと思う。
一風変わった個性は能力の裏付け。
 
まあ、これでも一側面を少し覗いただけの事。
競走馬は、難解な血統のパズル。故に、特殊な解も存在する。

 

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マイナー種牡馬の逆襲 ~ スズカマンボとキングヘイロー

読了までの目安時間:約 2分

 

スズカマンボとキングヘイロー
 
キングヘイローを思い出した。無論、カワカミプリンセスと共に。
オークス馬が、ここ5年で3勝2位入線1回。上位人気に推されれば確実に走ってくるという圧倒的優位の傾向が、今年の一戦でより顕著なものに。秋華賞と旧女王杯はまるで別物だ。
 
二冠牝馬の父スズカマンボは、叔父母にダンシングキー兄妹がいる。
桜花賞馬ダンスインザムードとは同じ歳。
秋の天皇賞で、お互い調子のよくない時期ではあったが直接対決をして、ダンスが3着でマンボは13着。
こんなフレーズが並んでいるからお祭り気分と行きたいところだが、勝ったのはもっと人気のないSS産駒のへヴンリーロマンス。
厳しい世界だ。
 
とにもかくにも、春の天皇賞を歴代4位の好時計で制し、ダービーはレースレコードの5着。
思えば、配合はサンデーサイレンス×キングマンボ。
ダービーレコードの血統的バックボーンを備え、かつGⅠも制し箔もついた。
 
良血馬、ハイレベル世代、大レコードの経験、そして代表産駒がオークス馬…。
ただよく似たこの2頭は、地味な存在として語られる。
クラシックを負けたチャンピオン血統が故の肩身の狭さ。
 
クラシックで見せ場止まりだった悔しさを、有馬記念で晴らそうとしたら2歳チャンピオンが復活した。
その後、関東遠征で重賞を連勝したが、次の春までキングヘイロー自身に春は訪れず…。
 
勝負弱いという印象が燻る。お互い宙ぶらりんのポジション。
そんな中、キングヘイローがマヤノリュウジンをGⅠに送り込んで、流れが来ているとも思った。
 
才能の見せ時を心得ているのか?
これもボンボンらしいところだろう。
 

 

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