ダートツートップ

血統を語る、競馬予想ブログ「ぶらっと競馬場まで」

血視点⑤

読了までの目安時間:約 2分

 

ダートツートップ
フェブラリーSはお手上げだったが、そこで人気だった2頭の父キングカメハメハは、現役時に管理していた松田国英調教師が秋のGⅠでその成長力を披露できなかったことに、非常に悔いが残っていると語っていたのが印象深い。
図らずも、夢の続きを体現した産駒たちは、女傑エアグル-ヴとの間に生まれたノンSS配合の内国産最高峰たる存在であるルーラーシップを筆頭に、いくらか奥手の傾向にある。

サンデーの血が入っているから、ベルシャザールはクラシック戦線に乗ることもできたが、不良馬場のダービーでは、体が大きすぎてかなりもたもたしながら、ナカヤマナイトを制して3着。休養を経て、今に至る。

一方のホッコータルマエはというと、最初から最後までダート道を進もうとしていた馬が、この次は特殊条件に挑むわけだから、是が非でもフェブラリーSは勝ちたかったはず。
ミスプロの血が母方にもう一本入っていて、パワフルさを強調された印象も決め手は永遠の課題。
本質スピード型でも、芝オンリーのタイプではない。
だから、母父サンデーでも芝向きのサインとは断言できない。

ただ、スピード能力が特長の系統から出てきたチャンピオン血統同士だから、結局は本質が似かよっていて、お互いの長所を相殺してしまう可能性はある。
大型馬だから、という理由だけではないだろうし、
万能血統だからこそ、ミスプロクロスがその適性を明確にさせたのだろう。
かなりスピード寄りの配合だったアパパネやロードカナロアは、芝の時計の速い決着で何度も結果を出している。

次戦は果たして。「ダート」ではないから、自由な想像力で挑みたい。

 

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最後の一花 ヤマニンシュクル(前)

読了までの目安時間:約 2分

 

今でこそマックーンのことばかり語られるが、ちょっと前まではテイオー産駒がよく走っていた。
トウカイポイントがマイバブー系に久々のGⅠをもたらし、ストロングブラッドが今はもうない重賞でやたらと勝負強さを見せていたあの頃。
ドラマチックホースの宝庫・01年生組がデビューし始めてすぐ、函館1800の新馬戦で見事な勝ちっぷりを見せたテイオーの娘が、後に活躍するヤマニンシュクルである。

道悪の札幌で牡馬相手に繰り返しスパーリングをした2か月後、彼女は阪神ジュベナイルフィリーズに挑む。
スイ-プトウショウや札幌で先着を許したアズマサンダースなどの実に骨っぽい馬相手に、大外を伸びてゴール前人気薄のヤマニンアルシオンを捉えきって2歳女王に輝いたのは、もう10年と少し前。
この頃まで存在したいた、懐かしのトリッキーコースの代名詞「ポケット」地点発走の少女決戦は、2年半後の春まで続く。

クラシックではダメ、という2歳激闘史における通説は、この年も該当。
同期の最優秀牡馬コスモサンビームも、春のうちに燃え尽き、秋以降は療養に入ってしまった。

対社台、対サンデーという裏テーマが、この世代のみどころ。
牝馬勢にも前記のスイ-プに加え、同冠名のアラバスタらもいて盛り上がりをみせた。
そこでシーズンの始めと終わりに輝きを放ったスイ-プとシュクル。
秋華賞で馬体を併せてゴールしたシーンは、まるで古馬戦での再会を誓いあっているかのようであった。
が、これも血の定めか。
長期離脱という名の呪縛に、彼女もまた苛まれる。
やはり、血は争えないもの。切なくて儚い少女の季節…。

 

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血視点④ メイショウマンボ

読了までの目安時間:約 2分

 

スズカマンボ×グラスワンダー。
春の天皇賞勝ちやグランプリ三連覇など、誰でもできるわけではない実績を残した名中距離馬同士のカップリングで、オークスの好時計勝ちにも納得はいく。
距離延長に融通の利く点も似ている同士の配合は、また似たような血統構成同士の配合でもある。

ヘイルトゥリーズン
ミスタープロスぺクター
ニジンスキー
それぞれに4代目以降のクロスを有し、加えて双方共通のノーザンダンサーの血が2本ずつ計4本の継続クロスが掛かっていて、レイズアネイティヴの連続的なインブリードも施されている。

大種牡馬の強くはないクロスを幾重にも重ねているのが特徴的。
同期のエピファネイアと血統構成の点で酷似しているが、彼の場合は、たまたまいい相手が同系であったというだけで、父と母父ともリボーという底力補強の鋼材も配合されているメイショウマンボの方が、より作為的なインブリードであることを感じさせる。

母系は、大昔にダイコーター(菊花賞馬)を出した在来牝系のダイアンケーを牝祖とする渋すぎる系統で、決して活躍馬が多い一族ではない。母は未勝利馬。
母母父がジェイドロバリーで比較的柔軟性を持ち合わせるが、祖母が母父ミルジョージにも関わらず、西の4歳牝馬特別で2着するなど芝の短距離で活躍。
その奥はドイツ血統のような重厚な系統が居並ぶ構成も、鈍重過ぎないが、現代の時計勝負に向く性質は持ち合わせない。
1400の重賞を勝ち切った潜在的なスピード能力は祖母から受け継いだと考られる。
穴でこその魅力も含め、父の血をしっかりと継承していることに愛着が生まれるのも自然な流れだ。

 

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血視点③ ジェンティルドンナ

読了までの目安時間:約 2分

 

全姉ドナウブルーはあと僅かなところでインを掬われ、引退レースを勝利で飾れなかったが、母ドナブリーニの性質を色濃く受け継ぐ存在だった。
母は、1200までしか勝ち鞍のない2歳GⅠの勝ち馬である。

次女ジェンティルドンナは、短距離専門になるほど掛かる馬でない。溜めればキレる。
リファールのクロスとノーザンダンサーの5×4×5。
母がノーザンダンサーの同系配合馬で、その3×4を持つ。速さに磨きをかける強いクロス。

アメリカナイズされた欧州配合のグラスホース。
ただし、スタミナの血は不足しているから、スピードレースに向く。
本質でドナウブルーと同じなのは、姉妹であるから当然なのだけれども、やっぱり妹はディープの仔という印象が強い。

ウオッカと通ずる点もちらほら。
父がロベルト系で、その母父は日本でなじみ深いフォルティノ系のクリスタルパレス。
母は直系がネヴァーベンド系で、母父が父内国産種牡馬の雄・トウショウボーイだから、ナスルーラ系を幾重にも重ねられ生み出されたウオッカは、時に危うく、時に華麗に、まさにこの系統の性質を前面に押し出して活躍した馬だった。
時計に裏打ちされた高いスピード能力が本質だから、大一番の時計勝負には滅法強かったが、父の持つ破壊的な末脚が最大の武器。
牝馬だからか、前例に倣ったかのような共通項。

JC連覇で改めて示した、東京2400への特別な適性。
スペシャルワンとしての道。牝馬だからこそ大成したチャンピオンフホース。
これまでの安定感を、今後は望まぬことが吉。
それもウオッカに似ていたりする。限界の声が、馬の悲鳴であっては切ない。

 

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ストームキャットが来た

読了までの目安時間:約 2分

 

数年前、エイシンの2頭が立て続けにマイルCSで主役となり、昨年はアユサンやキズナに加え、2013年度代表馬ロードカナロアと母父ストームキャットトリオが各路線の中心レースを制し、またアジアエクスプレスが直系としてマイルという距離に対する絶対的な強さを示した。
このストームキャット現象を、今更ながら考察してみた。

普通に回ってこれたらという意味で1番人気に推され、それでも結果を残した牡馬2頭に着目してみると、ロードカナロアの中に入っているストームキャットが本来の性質を示しているように思う。
気難しさを秘めるスピード型で、ビッグレースのタフな展開を好む。安田記念はレコードに0.2差の決着だった。
そういう意味では、キズナなどは叔父の強烈さを継承しつつ、姉のような確実性のある伸び脚で相手をねじ伏せる性質も併せ持つから、必ずしも重要な役割を果たしているわけではない。

アジアエクスプレスはダート向きの脚力で初コースやゴール前の急坂をこなし、楽勝のゴールに繋げた点にらしさの一端を覗かせた。
2歳で巨体を活かし、”先駆者”ゴスホークケンと同じく、普通じゃない能力発揮を可能にしたと言える。
これこそスピード型の本質だろう。

総合的な観点でいけば、アユサンがらしさを見せた。
時計を要する急坂のある春の芝で、ヨーロピアンタイプに向きそうな競馬を、ダート血統を内包する馬が掲示板を占めた。
芝の極端な高速決着に向く血統ではない。
結局、ダート的持続力勝負が芝のGⅠで増加している証拠ではないだろうか。
日本のメインステージで、この手の血統が主役を張る、そのサインかもしれない。

 

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