予想、回顧、コラム

血統を語る、競馬予想ブログ「ぶらっと競馬場まで」

夏の修正

読了までの目安時間:約 2分

 

エアグルーヴとアドマイヤドンに共通項は多い。
母がオークス馬で、一族は押しなべて人気を背負いながらプレッシャーに打ち勝った者が生き残ることも同じ。
特にこの2頭の場合、トニービンの血を引いたサンデーサイレンスの入っていないGⅠ馬であることも特記事項だろう。

ドンの札幌2戦における陣営の狙いは、秋に向けた準備ともう一つ、軌道修正の意味が大きかった。
札幌記念では、古馬と戦う意義を求めたというよりは距離適性と芝のGⅠで通用するかどうかを確認。
一年後のエルムは、ずっこけ粉砕のフェブラリーSで受けた心的後遺症を癒しつつ、立て直しの成果を図った。

早熟のイメージが付きまとうティンバーカントリー産駒のこと。成長力の確認も必要だった。
ベガの3番仔だけ父が違う。
でも、競走馬になれなかったヒストリックスターもそうだが、インパクトではサンデー産駒のステークスウイナーにも引けを取らない。
3歳で札幌記念。ひとつ年上の二冠牝馬に完敗したあの日。菊の後はダートで、という判断を促した。
ドンの姪にあたる今年の桜花賞馬は、GⅠ5勝馬より少しだけ人気を集めてのレースとなるのか。進む道はそのままで。

乗り替わりのエルムS。
そうなった理由を掘り下げるよりは、ドンのことを考えての最善策と見るべきか。
何せ、この450kg台の中型馬はダートのGⅠで既に結果を出していたのだ。
思えばこの馬は、新馬戦はダート使っていた。この賢い馬に今必要なものは何か。

札幌記念でも人馬の呼吸を再確認する必要のある芦毛の二冠馬と共通する、今欲する何かを陣営は見つけ出した。ドンがGⅠ7勝馬となった理由が札幌にある。

 

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早熟か持続か

読了までの目安時間:約 2分

 

これは血の宿命なのか否か。
ストームキャットを共通の祖父に持つ2歳戦のスターホースは、年明け後ここまで共に未勝利。
奇しくも、こちらも祖父が同じタガノブルグは、NHKマイルCで同じヨハネスブルグ産駒のホウライアキコを人気馬もろとも呑み込もうというゴール前強襲で、大いに見せ場を作った。
父が同じと言っても、結局は別物なのは百も承知で、それでも違う何かを求めていくのが今回のテーマである。

アジアエクスプレスの今後については、特に括目すべきものがある。類まれなる身体能力の高さで芝・ダートの垣根を飛び超えた活躍を見せていたが、久々のダートで恐ろしいほどに反応できず大惨敗。
「やっぱり早熟か?」
という評価も、当然出てくる。ストームキャットだからか…。
母父ストームキャットながら皐月賞3着と健闘したタイキシャトル産駒のメイショウボーラーは、芝の短距離に鉾先を向けて3歳秋までは踏ん張ったが、結局最後は、ダートでGⅠタイトルを獲得。その流れを見て、この早すぎる凡走を根拠とした早熟評は存外的外れでもない。
同じヘニーヒューズの日本の代表産駒であるヘニーハウンド、ケイアイレオーネらが、古馬戦で一発劇勝後は大不振であることも論拠をごり押ししている。

昔より大分減ってきた超早熟型。消耗を防ぐレース後のケアの選択肢増加が、再生を可能にしてきたのも事実。
一つ年上でBCディスタフ圧勝のビホルダーは、年明けの古馬初戦までは難なくクリアできた。
結果が全てとは思わないが、レパードSではせめても走る気だけは見せなければならない。
2歳秋の彼が、いずれは戻ってくると信じたいのだが…。

 

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血視点⑩ 種牡馬ハービンジャー

読了までの目安時間:約 2分

 

ハービンジャーが日本に来た理由が未だ解せないままに洋芝の競馬が始まり、思ったより早くいい結果を出したその意外性について考えてみた。
トゥザヴィクトリーの全妹であるギーニョの仔・スワーヴジョージが、函館開催の最終週の芝1800Mで快勝して、産駒初勝利を決めたのだが、翌週開催の替わった札幌の開幕週でも、ジャズファンクが新馬勝ちしたからもう無視することはできない。
後者は祖母シンコウラブリイという良血馬。

ノーザンダンサーの入った良血牝馬との配合で、きっちり結果を出せた意味。
ハービンジャーを形成する父、父母父、母父、母母父にはそれぞれノーザンダンサーが含まれ、うち3者はその直系。欧州型の濃密な同系配合の権化を日本に連れてきたのは、それがこの国の主要血統ではないからである。

高いスピード能力と距離こなす粘り強さを兼ね備えたオグリキャップが、種牡馬として成功しなかった要因として、激戦の連続による消耗と自身より速い馬を生む才能に恵まれなかったことが挙げられる。
そのネイティヴダンサー系の繁栄は、快速レイズアネティヴを送り込んだからこそのミスプロ系の大成功に繋がったわけだ。
だからハービンジャーにだって、祖父デインヒルのような大種牡馬となり得る可能性を少ない大レース経験数から推論できる。

想像の域を脱しないが、オグリキャップとの違いがいい方に出るという見立ても無理筋ではない。
無論、血統構成は違うのだが。因みに、ハービンジャーの中にはネイティヴダンサーの血が6本入っている。
芝の根幹距離であるマイルのGⅠ馬を早くから輩出すれば、未来は開ける。

 

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雨ならば

読了までの目安時間:約 2分

 

列島を大型台風が襲う今、雨にまつわる血統の話を一つ。
実は今年、芝・ダートのオープンクラスで重・不良だった9レースの勝ち馬に、顕著な傾向が現れている。

5代以内にナスルーラ系の種牡馬が入っている馬が、該当レース勝者のうち7頭もいるのである。
例外はエルフィンS(重)のシャイニーガールとポラリスS(重)のキョウワダッフィー。
ただ、後者は母にナスルーラの5×5が掛っている上、自身もその直仔であるナシュアの5×5を持っているから、例外とは言えず。
シャイニーガールにしても、母母父ミルジョージという馬は1頭だけいたが、ダートの新馬戦を制した馬だったから凡走も当然。馬場を味方につけた。

ナスルーラ系は多種多様に進化した子孫が色々な傾向を示し、健在であることも認めるが、少数派になってきた日本での立ち位置を考えると、少々興味深くも映る。
この傾向の特徴は、芝向きのナスルーラ系種牡馬であるテスコボーイから一大勢力を築いたプリンスリーギフトの名前がどこにもないこと。代わって、90年代まではよく走っていたボールドルーラーやブラッシンググルームの系統が多く見られる。

テスコボーイやパーソロンなど初期にクラシック等当時の八大競走で総合力を示す産駒が現れた場合、その系統は長く生き延びる。それは、サンデーサイレンスと御三家を形成したブライアンズタイムやトニービンとも共通する。
トニービンinの2頭は、良馬場の重賞を快勝していた。

やはり、これは日本の高速馬場に対するアンチテーゼを示したサインなのか。
傍流血統の現状に加え、その国の性質までも表した天の啓示とまでいうと大袈裟だが。

 

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それはSSだから

読了までの目安時間:約 2分

 

サンデーサイレンスの威光は、直仔の世代が活躍していた頃に比べ、質量ともスケールアップし、その強さは増している。
進化を遂げつつ、一方で自然淘汰の流れも作り出し、完全体の選別は日々加速中だ。

2014年上半期に行われた中央のGⅠを直系の孫が完全制圧。無論、史上初の出来事だ。
有馬記念から12戦連続勝利中。
重賞競走に拡大しても、ヴィクトリアマイル以降全てでSSの直系か孫の世代が勝っていて、母父SSのディアデラマドレなど例外的なほど。
AJCC勝ちのヴェルデグリーンなど10頭以上の例外馬はいるのだが、サンデーorキングマンボinというフィルターをかけると、ベルカントとレッドスパーダしか残らないから凄い。

週の単位では、秋華賞をメイショウマンボが制してから9か月間ずっと、毎週のように直系の孫が重賞勝ち馬となり、サンデーの血が入っている馬は、ダノンシャークが富士Sを勝ってから計26回1番人気に応えている。
国内の重賞という括りでは、年末にホッコータルマエが一矢報いた週もあったが、今年はまだ継続中。
母父SSのホウライアキコがデイリー杯2歳Sをレコード勝ちした週から数えると、中央の重賞を都合開催41週連続制覇中なのだ。

言わずもがな、サンデー系による重賞制覇は、プライムステージが1馬人気に応えた札幌3歳Sが最初。ちょうど今から20年前の7月31日のこと。
その後、21世紀の日本競馬を支えこととなる偉大なる中興の祖は、生産者に活力ある血の融合を世界中から集めさせた。それが春のドバイで結実した形として現れたのである。
終焉などとは無縁の季節を、今迎えている。

 

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