スピード系統の進化

血統を語る、競馬予想ブログ「ぶらっと競馬場まで」

勝負の血統  ノーザンダンサー系<スピードタイプ>

読了までの目安時間:約 2分

 

ストームキャットとデインヒルは、スピード型の種牡馬として世界の血統地図を塗り変えていった。
日本は芝が高速戦で、ダートではスピードを殺がれる。
ノーザンダンサー系は、大抵この真逆の条件を好む。故に、日本の活躍馬は多くない。

ただし、そこは主流系統。
昨年は、ロゴタイプが2歳王者になり、JCDはホワイトマズル産駒のニホンピロアワーズが制した。
春の短距離GⅠはクロフネ産駒が2勝。
10、11年のマイルCSもストームキャットの系統が連覇。
21世紀に入ってからは年1、2頭はGⅠを勝っている。

また、日本で特に走らないデインヒルやストームキャットは、直系と母父に入るのとでは大違い。
フェノーメノとキズナがそれぞれの母父の最高傑作。
競馬の施行条件が合わないとはいえ、和合性の面で他系統のそれを遥かに上回るこの性質が、世界制圧の第一要因であることを示している。

スピードタイプの系統には、底力型のリファールとヌレイエフもいる。
この二つの系統は安定感を欠くので、母系に入った方が成功する。

ノーザンテーストは、日本で最も成功したノーザンダンサー系種牡馬。
デピュティミニスターはダートメインでも、スピードタイプならば芝でもGⅠ級が出る。
そのためか、日本ではダートの一流馬より芝の超一流馬のほうが目立つ。

スピードのあるダート向き血統の方が、日本の芝に向いているのだ。

世界の趨勢は、アメリカから派生したスピード系統の天下。
日本の競馬も、英国式のレース体系とアメリカ血統のコラボレーション。

ただ、代重ねにより例外が急増中。
スピード系統の進化は早い。

 

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マイナー種牡馬の矜持

読了までの目安時間:約 2分

 

エイシンサンディ

「中央のセイクリムズン」
現役産駒の稼ぎ頭は、さきたま杯で2着好走後、力勝負のプロキオンSでもまた2着。7歳シーズンも元気いっぱい。
父の名も上がって鼻高々だ。

エイシンサンディは、決して父の血を買われただけの種牡馬ではない。
母父はノーザリー。
牝祖フロリースカップからシラオキを経ない傍流的存在も、それはニホンピロウイナーやセイウンワンダーも同じ。
このラインはガーネットを経ており、一族にメイショウサムソンがいる。

サンデーサイレンス2世代目。同期はダンスインザダーク、イシノサンデーにバブルガムフェロー。SS前期のブレイク世代だ。
あまりにも有名だが、この馬は未出走馬。
中央の所属も、いとこのトーホウドリームのように大仕事をすることはなかった。

4連勝で桜花賞に挑んだエイシンテンダーが牝馬の代表産駒。
基本的に、数多存在する「兄弟種牡馬」にいい血統の馬は持っていかれてしまうため、マイナーな血統構成の繁殖牝馬が相手になる。
この馬は母父タイムフォーアチェンジ。テディ系でダマスカス直仔だが、印象的な存在ではない。
「母父ターナボス」
ミツアキサイレンスのこと。
ターナボスは、トウルビヨン系の超マイナー種牡馬。
父ブレイクニーはキングカメハメハの母母父ではあるが、同系パーソロンの仔とは比較にならないほど重厚。
このおじいさんがいたからこそ60回も走れたのだ。

ダート巧者が多いのは、単純にスピード不足だから。
ただし、この牝馬のレベルで母方の長所を引き出すポテンシャルは父似で侮れない。
隔世遺伝も…。

セイクリムズンも在来牝系。
いずれはお父さんに…。

 

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勝負の血統 ノーザンダンサー系<欧州タイプ>

読了までの目安時間:約 2分

 

競馬界の中心的存在、世界のチャンピオン血統である。
キャメロットもフランケルも、あの憎き?ソレミアも、みんなノーザンダンサー系。
ほとんどの良血馬がこの系統だから、GⅠを勝つ回数も必然的に多くなる。

モンジュー産駒のキャメロットが三冠奪取失敗後、オルフェーヴルの大斜行劇の裏で、父の時と同じ条件でのコンディションでありながら、全く見せ場を作れず馬込みの中に埋もれてしまった姿に、一つ下の皐月賞馬ロゴタイプの未来が見え隠れする。

サドラーズウェルズを共通の祖先に持っているが、日本で思われている以上に完成が早く、長距離耐性がさほど強くないのが特徴。
日本は高速馬場だから、長いところでもスピード決着が多いのであまり気にはならないが、長年サドラーズウェルズ産駒がエプソムダービーを勝てなかったのも、その本質が影響しているのだろう。
直仔のモンジュー産駒も、当地では反応の良さが売りで、明らかに中距離タイプの底力型なのだ。
現にオペラオーもサムソンも、古馬の2000M戦で圧倒的なパフォーマンスを見せている。

ロゴタイプに期待するのは、皐月賞馬・ダイワメジャーのような脚質も成長力も二枚腰という奥深さ。
父も祖父も古馬になってから実力を発揮したが、スピード型は早くから活躍するもの。
日本の高速馬場をこなし、かつ時計面でも優秀な記録を残したサドラーズウェルズの支流。

オペラオーもサムソンも、絶頂期を過ぎてからのGⅠで凡走していたわけではない。
この系統は、本格化後も息が長い。

皐月賞制覇は吉か凶か?
日本のノーザンダンサー系の進化過程を体感できる。

 

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勝負の血統 リボ-系

読了までの目安時間:約 2分

 

安田記念はストームキャットの肌に、リボ-の血を持った馬がワンツー。
ダービーも、勝った馬は母父ストームキャットで、プチブームと化している。
有用なスピード能力を伝えるが、日本ではスピードタイプが大半で、それはワールドスタンダードでもあるから特別な効果があるというわけではない。

キングメーカーながら評価しきれない血のある一方で、ぶれないことで持ち味を発揮するGⅠ血統がある。
リボ-系だ。

いつの時代も直系ではなく牝系に入ることで、凄まじいまでの底力を発揮する。
不器用すぎて、直系ではなかなか活躍馬を送り込めないでいるが、ストームキャットと同じく、母方から一定以上の影響力を及ぼすことで存在感を示している。

最大の武器は、勝負強さ。
ショウナンマイティが、リボ-系の傑作アレッジドの4×3の濃密なクロスを持ち、一歩間違えれば破壊力より先に、走る気が暴走してしまわないかと気になってしまうほどだが、なんとかいい子をしている。
おかげで、不利もあったが、また2着という結果に…。

気難しさで嫌われることの多い系統。
リボ-自身、晩年故郷に戻れなかったのは、飛行機に乗せてもらえなかったから。
よっぽどである。

メイショウマンボは、スズカマンボとグラスワンダーがリボ-の血をそれぞれ持ち、マイルC馬の父スズカフェニックスも母母父はアレッジド。
皐月賞馬も祖母のスターバレリーナの父リズンスターがリボ-の血を引く。
フェノーメノもグレープブランデーも…。
サンデーの血の次にGⅠで必要な血なのである。

リボ-が生まれたのは1952年。
主流系統の裏で、狂気のマグマが今も沸騰している。

 

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