予想、回顧、コラム

血統を語る、競馬予想ブログ「ぶらっと競馬場まで」

血統なるもの

読了までの目安時間:約 2分

 

盾獲り物語の最終盤は、デインヒルやストームバードなど、本質2000までがギリギリの種牡馬が母父に入っている同士で消耗戦を競った。

でも、この2頭は2000M以下の重賞を勝っていない。父も同様。
脚質がまるで、母父のダンシングブレーヴそのもののホッコーブレーヴは、勝負が決まってから突っ込んでくるタイプ。
この結果は、多頭数の競馬に向かないこの距離独特の性質を示し、それはまた、日本競馬のジレンマそのものでもある。
これが、キズナの怪我の遠因ともなった。血統のイメージが結果とリンクしないレースは、最も敬遠すべき勝負だったようにも思える。
いつもと違うことを要求したから負けてしまい、怪我もした。残念だ。

ディープはマイルで強い。
桜花賞の4連覇に加え、昨年はマイルCSとVマイルも勝っている。
中山は苦手とされるが、桜花賞の舞台に朝日杯が移設し、最後のピースも間もなく埋まるだろう。
ミッキーアイルが、ロックオブジブラルタルの影響を受けているのは間違いない。
母やその父と似たところを体現していたサトノルパンも人気を集め、ディープインパクトが、父の最良の後継者として君臨する理由が全て含まれているマイルCの結果であった。

この2週間で、ディープインパクト産駒の真実を問う、
「血統なるもの」
が見えてきた。
キズナは、同父のミッキーアイルと本質的な部分も同じという可能性があるのではないか。
その真相は、実は異父姉に根拠を求めることもできたはずだ。

もし血に抗えたなら、天皇賞はもちろん、ダービーもエピファネイアの末脚を好位抜け出しで封じ込めていたのだろう。
でも、結果は違うのだ。

 

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血視点⑦ ハープスター

読了までの目安時間:約 2分

 

凱旋門賞制覇の可能性についてだが、少なくとも適性はあると思う。
唯一の欠点とされるのが母父ファルブラヴの存在。牝馬らしいしなやかなフォルムではなく、むしろファルブラヴの代表産駒たちの成功例から見る共通項が、ある意味でスピード競馬への対応力を強く支持するようなここまでの結果ではある。

ただ、完全欧州型の血統構成は、ノーザンダンサーの継続クロスによって強く結び付けられ、また上がりの勝負に向く差し脚自慢のディープインパクトとトニービンの存在は、このスーパーヒロインを語る上で欠かすことはできない。
祖母ベガを形作った父のトニービンと、芝適性以外の部分を補完する主要素たる母父ノーザンダンサーとの成功配合は、トニービンの母父としてなど、裏方仕事に向く性質を暗示している。

また、配合上のキーファクターとなるノーザンダンサーと父ディープインパクトとの関係では、自身に含まれるノーザンダンサーが配合相手の中にあるそれとのクロスによって、ジェンティルドンナやダービー馬2頭輩出という結果を導き出した。

継続・多重クロスは薄くても意味がある。5×(4×4)。
母の代では3×3と強烈なインブリードを施されていたが、1代経ることで適正なポジションに落ち着き、仔がディープの牝駒として生を受けると、前記全てのチャンピオン距離覇者の血は完全に覚醒した。

怪我の心配は確かにある。
だが、この馬の性質を見ていくと、その懸念は日本での多頭数における高速競馬に対し、もう別れを告げるべきシグナルのように思えてならない。
彼女のためを思うなら、そんな発想も存外筋違いと限らないだろう。

 

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血視点⑥ アジアエクスプレス

読了までの目安時間:約 2分

 

中山だけとはいえ、芝で立て続けに結果を残したことで、少なくもその万能性に疑う余地のないことを証明した2歳王者。
どうみてもまだ成長途上で、かつその進化の可能性を体型の変化によって示したことで、早熟を疑う声も封じ込んだ。

父のヘニーヒューズは、アメリカのスプリントGⅠを2勝しているが、肝心のBCでは力及ばず2戦2敗。
どちらかというと早熟。血統の印象通りの馬だった。
ダート向きに思われるのは、アメリカ血統が凝縮されているせいもあるのだろうが、タフなダート戦を特別選り好みするわけでもない。代表馬へニーハウンドなどその好例。

父はストームキャットの孫。
母はフォルティノ-カロの系統と日本向きの軽快なスピードを持ち味にするラジャババの孫という組み合わせで、こちらは芝向きの可能性を秘める。母の父ランニングスタッグは芝のGⅡ馬だった。
どれも強烈なインパクトはなく、大種牡馬からは多少距離のある血統構成。
父と母で血統構成がまるで違うように見えるが、血統表の右端の目を向けると、ノーザンダンサー・プリンスジョン・レイズアネイティヴ・ボールドルーラーなどが共通の祖先に名を連ねる。

芝をこなしていることより、この配合からチャンピオン級の馬が誕生したことの方が不思議。
内在する各大種牡馬が、その底力を少しずつ持ちより、絶妙なバランスで万能性を引き出したのだろう。
競走能力というのは、父の名前だけでは測りきれないものだ。

芝が向いているとは思わないが、世代屈指の才能で先入観を既に破壊した。
疑い続けるより、どんな可能性を秘めているのかを考えた方がよっぽど楽しい。

 

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最後の一花  ヤマニンシュクル(後)

読了までの目安時間:約 2分

 

エリザベス女王杯は4着。とはいえ、スイ-プトウショウと戦ってから1年1か月後の戦列復帰初戦。
その間、戦績でも後れをとったライバルは、スローペースをものともせず、いつもようにゴール前で先行馬を捉え、GⅠ3勝目をあげる。ただ、彼女にとってもこれが最後のGⅠタイトルとなった。

ヤマニンシュクルは、そんな1強の競馬でしっかり存在感を示した4着。
サクラスターオーは、菊花賞を皐月賞からの直行で制し、二冠馬となった。
マックイーンは新馬を含め、休み明けで7戦6勝。芝は5戦全勝だった。
東京とサンタアニタの休み明けで、信じられないような敗戦を喫した祖父ルドルフとて、セントライト記念のレコード勝ちや、逃げ切り楽勝の日経賞がある。
10か月以上の休み明け2戦2勝の父テイオーも然り。

長期休養明けでやたらと強いパーソロン系。
ここでも血のしがらみが、快走をアシストした。

冬のGⅢに2度挑むも、凡走を繰り返すうちに春になった。
中山牝馬S。1番人気、トップタイのハンデ56。1着。押し出された1番人気ながら、外から伸びてきた末脚は、
まさにGⅠ馬のそれであった。
しかし、GⅠでは苦戦を強いられ、得意なはずの北海道でも勝ち切れず。
最後は、2つ下の3歳女王に自由に走ることさえ許されず、脚を傷めてしまう。
鞍上に幸せをを運んできた天使は、勝利の女神にも見放されターフを去った。

辛い思いに浸る四位騎手に、しかし天使は、この日2歳のお手馬をプレゼントする。
3週後の新・阪神で爆発的な末脚を見せる、あのウオッカである。
名牝の時代は、こうして本格的な季節へと向かってゆく。

 

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POG反省会

読了までの目安時間:約 2分

 

POGを特集した1年前の競馬誌を読み返してみた。現在クラシック有力候補の写真も当然あったが、見た目と結果が伴わないのが常。
デビュー前の馬が10頭近く小さい写真に加え、その成長過程や特長が30字程記された小冊子の中では、あのハープスターでさえ2次候補の1頭に過ぎなかった。
幾らか丸みを帯びたラインからは、牝馬らしさよりは距離耐性の不安が見受けられ、マイラーの可能性をほのめかす育成者のコメントまであった。
母父はファルブラヴ。納得だった。

でも、松田博資厩舎の活躍馬には見た目の地味な馬が多い。
アドマイヤムーンもそう。決め手のありそうな体でクラシックを戦ったが、見せ場止まり。
古馬になってGⅠを勝てるようになった頃は、馬体の迫力は増したが、返ってキレる馬という印象は薄らいでいた。
ハープスターとそんなムーンの完成期の姿がダブる。
距離不安がなくなれば、もう怖いものなどない。

また、後の2歳女王の個別紹介はなく、2011年産馬の父親別産駒一覧の中に小さくレッドリヴェールという文字を見つけた。
ステイゴールド産駒の見極めは、実に難しい。

モンドシャルナは、この一族特有のバネを感じさせたが、今2勝目を挙げるのに四苦八苦。
そのすぐ下には、トゥザワールドの気品あふれる姿が映っていた。

ロゴタイプの半妹はパワフルさを覗かせるも、ズブさの方が先行して未勝利のまま。
前者には騙されず能力差を捉えられたが、後者にはまんまと騙された。(笑)
何を反省すべきか。
結局は、血統の華やかをいかに無視できるか。先入観は大敵。

鬼に笑われる遥か前から予習復習に励むのが、競馬社会の春なのだ。

 

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